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梨秋

Author:梨秋
梨秋(りしゅう)風月へようこそ。
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現在の取り扱いジャンルは
『けいおん』唯梓

いずれは他のCPも書いてみたいなぁ。

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DATE: CATEGORY:連載
唯梓
前作『揺れる想い、変わらぬ笑顔(4)』の続きとなります。
これで完結。最終話です。拙い文章ですが、どうぞお読みください。


『揺れる想い、変わらぬ笑顔(5)』


唯先輩は変なあだ名つけてくるし、いつでもどこでも抱きついてくる。ギターの練習もまじめにしないし、部活中もお喋りしてばっかりだ。だらしないところを挙げだしたらキリがない。私の好きなタイプとは、はっきり言って正反対。
それでも、あずにゃんって呼ばれると嬉しくて、抱きしめてもらうと温かくて、やる時はやる人だっていうのは、この1年間を通じて思い知った。きっと、いいところを挙げだしてもキリがない。
唯先輩はそんな不思議な人。

私は――そんな唯先輩が好きなんだ。


顔は火照り、心臓はこれでもかとばかりに暴れまわっている。
身体もどこか熱に浮かされているかのようにふわふわと心もとない。

それなのに――唯先輩から視線を外せない。

「あず……にゃん……」
「ゆ…い、せんぱ……い」

唯先輩の声に引き寄せられるかのように、身体はフラフラと近づいていく。
頭が回らない。私は何をしようとしているんだろう。分からない。もっと唯先輩の側へ――。

視線は絡み合い、そこに帯びる熱を確かに感じる。甘えるような、蕩けるような、探るような、何かを訴えかけるような、そんな視線。
もう止まれない。

唯先輩がそっと瞳を閉じた。

「ん……」
そして漏れるようなかすかな息遣い。浮かんでいるのは、必死ではあるが穏やかな、何かを決意したような表情だ。

「唯……せんぱい……」


そして、ついに唇が――



「ただいまー」
「っ!」

玄関の方から、扉が開く音とほぼ同時に憂の声が飛び込んできた。
何が起こっているか分からない。頭のどこか冷静な部分がすぐに離れるように警鐘を鳴らしているが、突然の出来事に身体は動かない。私、唯先輩から離れることを嫌がってるのかなーなんて暢気なことが頭をよぎった。
そんな中、なんとか視線を唯先輩に向けると、こちらも何が起きているか分からないようで、目を見開きぽかんとした表情を浮かべている。

「お姉ちゃん、梓ちゃんもう来てる?」
唯先輩に呼びかけながら、キッチンへ近づいてくる。

……っ! そんな場合じゃなかった、早く離れないと。ふと我に返り、よろめくように唯先輩から離れる。
次の瞬間、キッチンの扉が開き、憂が覗き込むように現れた。

「あ、梓ちゃん。いらっしゃい、もう来てたんだね」
「う、うん。お邪魔してます」
いまだ回り始めない頭で、どうにか不自然じゃない程度に答えを返す。さきほど見つめあっていた時とは違う意味で心臓は暴れている。

「ん? お姉ちゃん、どうしたの?」
「えっ? あ、いや、あはは、何でもないよぉ?」
相変わらず反応が追いついていない唯先輩を不思議に思ったのか、憂が声をかける。びくっと跳ねるように、なんとか笑顔を取り繕い唯先輩が答えたが、その様子を不審に思わないわけがない。ん?と首を傾げ、唯先輩に憂が近づいていく。

「わ、お姉ちゃん、その手どうしたのっ? 真っ赤になってるじゃない」
「こ、これ? カレー作ろうとしたらちょっと火傷しちゃって。だからあずにゃんに見てもらってたんだ」
「そっか、待ってて。氷とお薬持ってくるから!」
さすが憂、お姉ちゃんの一大事とみるや、驚くべき速度で飛び出して行ってしまった。おそらくリビングにある救急箱でも取りに行ったのだろう。

そうして、再び訪れる2人だけの時間。

「あ、えっと……その……」
「は、はい。なんでしょうか」
き、気まずい。さっきまで無我夢中で唯先輩を求めようとしていた分だけ、どうしたらいいか分からない。唯先輩もさきほどの状況を大いに意識しているらしく、口を開いては閉じ、くるくると指を回し、よく分からないジェスチャーを繰り返している。

そして、唯先輩は何度か同じことを繰り返した後、ぎゅっと目を閉じ、真っ赤な顔で叫んだ。
「わ、私、あずにゃんのこと大好きだから! 本気だから! そ、そういうことで!」
叫んだと思った瞬間、エプロンを翻し、脱兎のごとく駆け出してしまった。


「え、ちょ、ちょっと唯先輩! 待ってください!」
さっきまでの複雑な想いを孕んだ空気をすっかり忘れ叫び返すが、唯先輩の逃げ出すほうが早く、ついに1人キッチンに取り残されてしまった。

……っっ! なんで自分だけ言って逃げるのよー!!

やっと、やっと自覚したのに。
自分だけ宣言して、答えも聞かずに逃げ出すなんてあんまりだ。そんなのずるい。
想い余ってそう憤慨する一方、いつも全力投球で後先を考えない唯先輩らしいなと思う自分が居ることも自覚している。可愛いなって思ってしまう。惚れた者の弱みというやつだろうか。


――はぁ。
大きくため息を付き、思う。


伝えよう。きっと唯先輩は今頃部屋でどうするべきか悩んでいるはずだから。
あんな風に叫んで逃げ出してしまったけれど、私が今日お泊りすることを思い出して、どうするべきか悩んでいるはずだから。

自覚したばかりのこの想い。しっかりと伝えよう。
好きな人が困っているなら、助けてあげないといけないから。

少なくとも唯先輩は、ちゃんと想いを届けてくれたから。
だから、私も。


この想い、届けよう。

気持ちを伝えることへの恐怖は確かにある。それでも。伝える。

さあ――行くよ。中野梓。

想いよ、届け――。







おしまい

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント

こんばんは♪

とってもとっても良かったです!
胸がくすぐったくなるような唯と梓のやりとりに心が温まりました。
この後の展開がいろいろと妄想できますね!!なんてw
素敵なSSをありがとうございました☆




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