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梨秋

Author:梨秋
梨秋(りしゅう)風月へようこそ。
ここでは私が日々書き綴った二次創作SSやら趣味やら、日常やらをアップしていきたいと思っています。

なお、個人的なファンサイトであり、公式サイト様とは一切関係ありません。

百合・GL要素を多く含んでおりますので、苦手な方は回れ右でお願いいたします。

現在の取り扱いジャンルは
『けいおん』唯梓

いずれは他のCPも書いてみたいなぁ。

なお、このブログはリンクフリーとなっております。


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DATE: CATEGORY:SS
「あずにゃん、沖縄行きたい!」

「もういきなり何ですか」

「だってさ、もうすぐ夏が終わっちゃうじゃん。まぶしい太陽、青い海、輝く砂浜だよ。日本人なら一度は行かないと!」

「……台風15号のせいで海は濁ってると思いますよ?」

そう、つい数日前に日本南方に発生した台風15号。これが徐々に北上しているせいで、今頃沖縄周辺は大荒れしているはずだ。
唯先輩が夢見ているような光景とは少し違ってしまっているだろう。
まあ私もいつかは行ってみたいとは思うけどね。

「はぁ、分かってないなー」

わざとらしくため息を付き、おまけにチッチッチと指を振る唯先輩。

「む、一体何が分かってないって言うんですか」

台風が来ているのは本当だし、分かっていない呼ばわりされるのは少々心外だ。

しかし、そんな私の心情などお構いなしに唯先輩は一息に距離を詰めた。軽く背中に手を回し、私の目を覗き込んでくる。その表情はいつもの笑顔だが、ただ無邪気なだけではなく、演奏中に時折見せる全てを包み込むような慈愛に満ちたもの。

その瞳に、私は囚われる。

きつく拘束されているわけでは決してない。むしろ優しく、背中に手を添えられているだけだ。だが動けない。唯先輩の瞳に魅了されてしまったかのように、頭がボーっとしてしまう。

そんな私に唯先輩が語りかける。

「あのね、あずにゃん。もちろん晴れている方が楽しいし、観光するにしても綺麗な景色が見られると思うよ。でもね、きっと大事なのはそれだけじゃないと思うんだ。だれと一緒にそこを訪れて、だれと一緒にその景色を見るか。一緒の時間を共有するか。大事なのは、きっとそういうこと」

唯先輩の言葉が、想いが、温かさが、私に染み入る。
この人が好きだと実感する。
あぁ、私は、唯先輩が大好きだ。

「だからね、きっといつか一緒に行こうね♪」

今までの笑顔とはまた異なり、今度は弾ける様な輝く笑顔。
その表情に、私は遥か遠くに輝く沖縄の海を幻視した。




おしまい♪




あとがき
本日二度目の更新です!←もう奇跡と言っても過言じゃありません
どれだけ沖縄が楽しみなんだと突っ込みたい気がするSSを書いてみました。
私の中で、唯先輩は普段は無邪気に遊びまわってるけど、やっぱり大切な一線を守る女の子って印象がとても強いんです。そういった部分がすこしでも描写できていれば幸いです。
最後までお読み頂き有難うございました。



これより、コメントへお返事です。

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

DATE: CATEGORY:SS
『恋する乙女、夢見る乙女』



「いらっしゃい、あずにゃん」

「お邪魔します」

やっとのことで期末試験も終わり、今日は久しぶりに唯先輩の家へ遊びに来た。
久しぶり、と言うほど前回お邪魔してから期間は空いていないが、部屋に入った瞬間に唯先輩の香りに包まれ、妙にどきどきしてしまう。
意味もなく部屋の中を見回し、唯先輩の部屋変わってないなーなんて事実に少し安心。

部屋の様子に気が取られていて気付かなかった。いつの間にか唯先輩の姿が見えなくなっていたことに。

「こーら、あずにゃん?」

耳元に息が吹きかかるほどの距離で声を掛けられた。
咄嗟の事に飛び上がるよりも先に体が硬直する。

「……っ」

「女の子の部屋をそんなにじろじろ見回しちゃダメだよー?」

「す、すみません」

唯先輩のいつもとは異なる雰囲気に呑まれ振り返ろうとするが、思っていた以上に距離が近く叶わなかった。
困惑している間にも、至近距離で妖しく囁く。

「ふふ、そんな悪い子にはオシオキ……だね? ね、梓」

体を固定するように腰を抱え込まれ、さらに優しく太ももを撫で回される。

「んぅっ……。唯先輩、待って……!」

甘い刺激に崩れ落ちそうになりながらも、最後の力を振り絞りなんとか振り返る。
そして、ついに唯先輩の顔が視界へと入ってくる。

そこには
今までの行為からは想像もできないような、優しく微笑む唯先輩の表情があった。

「あ……」

「ん? どうしたの、梓?」

微笑みは崩さず、すこし不思議そうに問いかけてくる唯先輩。
その瞬間、頭の中からは叱られていたことなどすっかり吹き飛び、本能のままに瑞々しい唇へと吸い寄せられていく。

「もう、梓は仕方ない子だねぇ」

そんな呟きを残しながらも、唯先輩は私を受け入れて……




ジリリリリリリっ




「……へ? あ、あれ?」

唯先輩? あ、あれ?
ついさっきまで背中に感じていた唯先輩のぬくもりは消失し、部屋中で大音量で鳴り響いているのは目覚まし時計。

まさか、これって……


う……にゃあぁぁぁぁぁっ///////

わ、私ってば、なんて夢見てるのよーーーーー!!!!!

……っっ////







おしまい♪




はい、ただの寝オチSSでしたw
ここまでベタなSSも珍しいですね。
ぷちSSを書こうかなーと始めてみたものの、思ったよりも長くなったのでSSへと格上げしちゃいました。
クオリティーが追いついていないのは目をつぶっていただけると幸いです。

今回は、梓が夢見るイケメン唯先輩! をテーマにしてみたんですが、いざ書き始めると意外と筆が進まなかったです。書いていて楽しいことは楽しいのですが、いつもとキャラが違いすぎて、思いのほか動いてくれなかったw

……精進します(陳謝



追記よりコメントお返事♪

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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

DATE: CATEGORY:SS
平沢唯ちゃん誕生日SSです。
前回公開したあずにゃん誕生日SS『present for you ~祝福と感謝の想いを~』を先にお読みいただくと、ほんのちょっぴり多めに楽しめる……といいなぁ(願望

それでは、どうぞお楽しみください♪




『私と貴女の想い色』




「……さ、ぁ……さ、ねえ梓ってば!」
「……へ? あ、なに? どうしたの、純」
「もうっ、どうしたのじゃないよ、まったく。次は音楽室だよ。さっさと動いた動いた」
「あぁ、うん、そうだったね。用意するからちょっと待って」
いつの間にこんな時間になっちゃってたんだろう。授業終わったところまでは覚えてるんだけど。
いけない、いけない。気持ちを切り替えないと。こんなことじゃさわ子先生になに言われるか分かったもんじゃない。
次の授業の教科書を机から引っ張り出し、筆記用具をそろえ、用意は完了。
純と憂は教室の入り口で待っていてくれた。

「それで? さっきは一体何を考えてたわけ?」
次の教室に向けて歩き始めた私に純が問いかける。
その表情はいつものようにサバサバとしているが、私のことを気にかけてくれているのが分かる。
「……別になんでもないよ?」
それでも素直じゃない私はそう答えてしまうわけで。
特に隠す必要もないんだけど、正直に話すのもなんだか気恥ずかしいし。

「なんでもないわけないでしょー。最近ずっと難しい顔してるじゃん。さっきだって休み時間になった瞬間、頭を抱えてため息連発。これがなんでもない人のすることだと言うつもりか」
名推理でしょとばかりに、どこぞの少年探偵さながら指を突きつけてくる。決めポーズの間もせっせと足は動いているのがどこかおかしい。

「うんうん。そうだよ、梓ちゃん。何か悩み事? もしよければ相談乗るよ?」

両脇から問い詰められ答えに窮する。
純にいたっては、憂に便乗し、ここぞとばかりに心配してますオーラを全開にしてるし。
あれは絶対にわざとだ。ちょっとばかり楽しくなってきてるに違いない。
しかし例えわざとだと分かっていても、そんな2人を前に隠し事などできるはずもなく、

「う、えっと……まあそんな大した話じゃないんだけどさ」
「うんうん」
「え……っと、その……ほんと大したことじゃないよ?」
「大丈夫だよ、梓ちゃん。どんな話でもちゃんと聞くから」
正直に話そうとするも、いまだ煮え切らない私を憂は優しく諭してくれる。
ほんと、いつも思うけどよくできた友人だ。
憂達に話を聞いてもらったら何かいい案が出るかもしれないよね。

「あー……でもこんなことわざわざ相談することもないような気もするし」
「まあいいからいいから。言ってみるだけで楽になることもあると思うよ?」
それでも思い切れない私を憂が最後の一押し。

「うん、それじゃあ。実は唯せn「だーーーっ、もうぐちぐち言ってないで、さっさと吐けーーーっ」

「ちょっ、いきなり大声出さないでよ! せっかく人が勇気を出そうとしてるのに」
「梓のことだから、どうせ唯先輩のことなんでしょ! そんなことはとっくに分かってんの!」
「な……っ!」
「その唯先輩の何について悩んでるのかさっさと吐きなさーい!」
がおーっとばかりに純が吠え掛かってくる。

な、なんでバレてるの?! 
この話はまだ誰にもしてないはずなのに。私ってそんなに分かりやすいの?
隠す必要もないと分かっていながら、心の準備もなくバレてしまったことに動揺する。
そんな私に純がとどめの1言を放つ。

「なにびっくりしてるのよ。ここ1週間、いつもに増して口を開けば『唯先輩、唯先輩』って、耳にタコができるほど聞かせておいて。これで分からなきゃ、ただのアホだよ」
「あはは……」
憂は隣で苦笑い。いつも優しい憂からフォローの言葉がないところを見ると、まさにその通りだったようだ。

「……」
そうか、純はただのアホじゃなかったのか……

「ねえ梓、今すごく失礼なこと考えなかった?」
「え? そ、そんなことないよ?」
「ほんとに?」
「ウン、ホントホント」
「なんでカタコトなのよーーっ」
つい本音が顔に表れてしまったのだろうか。まあこっちの方はバレても何の支障もない。
それにしても、いつもそんなに唯先輩の話ばっかりしてるかなぁ。純が相変わらず何か言っている気もするけど思考に没頭していく。

先週から特に唯先輩のことばかり考えているのは確かだ。先週の11月11日――私の誕生日を唯先輩にお祝いしてもらってから今まで、私の頭の中はあることでいっぱいになってる。この時期に私の頭をいっぱいにすることといったら、それはもちろん唯先輩の誕生日。これしかない。
私の誕生日はいろんな意味で衝撃的だったけど、唯先輩は心からお祝いしてくれた。プレゼント自体は、私達が恋人同士だということを考えれば意外とベタなものだったが、それでもそこに込められた想いや決意はすごく伝わってきた。

――プレゼントは私……だよ。あずにゃん、優しくしてね……?――

もらった誕生日プレゼントを思い出し、ボンっと顔から火が出る。
あのときの唯先輩、可愛かったなぁ。目をうるうるさせながら頬を染め、首に赤いリボンを巻いた唯先輩。
あれはまさに犯罪級。私はあのときの光景を一生忘れることはないだろう。
目の奥にいまだ鮮明に焼きついて色褪せることない光景が、現在の私の悩み事に拍車をかけている原因の1つであることは間違いない。
だって唯先輩へのプレゼントを考えるたびに思い出しちゃうんだもん。

唯先輩との大切な思いでを反芻しているうちに、いつのまにか音楽室の前までたどり着いていた。
仕方ない、憂達に相談に乗ってもらうのはまた後でだね。

「うぅ……憂ー梓がいじめるー」
それにしても、純が憂に泣きついてたけど、いったいどうしたんだろう?



放課後――
相談の続きをということで平沢家にお邪魔している。道中のコンビニでお菓子とジュースを買い込み、準備は万端。さっそく3人でコタツに潜り込み、話を聞いてもらっている。

「なるほどね。誕生日にすごく心がこもったプレゼントをもらったから、梓もそれ相応なものを返したいってことね」
「うん、そうなんだ。なかなか思いつかなくて」
純のまとめに頷き答えるが、いまだ納得のいくプレゼントは思い浮かばない。
いっそのこと私も、私がプレゼント……やっちゃうか?
……ってちょっと待て、私。あれは唯先輩が全力で考えてしてくれたからこそ許されるのであって、私が二番煎じでやるのはダメでしょ。
それに、さすがに恥ずかしいし。喜んでもらえるのは間違いないと思うけどさ。

「ねえ梓ちゃん、ところでお姉ちゃんは結局何をくれたの?」
「あ、そういえばまだ聞いてなかったね。何だったわけ? 誓いの指輪とか?」
憂と純の問いかけに、冷や汗が流れる。今までの真剣に耳を傾けてくれていた態度とは打って変って、好奇心に満ちた瞳で見つめてくる。
「まあ誓いと言えば、そうと言えなくもないかな。あは、あはは……」
まさか本当のことを唯先輩の妹がいる前で言うわけにもいかない。苦笑いで何とか誤魔化そうとしたところ、不思議そうな顔をしながらも2人はなんとか流してくれた。

唯先輩からのプレゼントは確かに誓いだった。
『これから先、どんな困難が待ち受けていたとしても、私はあずにゃんと一緒にいる。ずっと一緒にいてみせる』そういった気持ちがこもったプレゼント。瞳から、言葉から、体温から――唯先輩の全てから――熱く伝わるその想いを、私は確かに受け取ったんだ。
だからこそ私も、唯先輩へのプレゼントで手を抜くようなことはしたくない。この胸に宿る想いを、届けてみせる。

「これなんかどうかな、梓ちゃん。誕生色、だってさ」
「誕生色? 誕生石みたいなもの?」
「うん、そうなんだけど。この雑誌に載ってるのは少し違ってて……」
憂が言うには、もともと誕生色というのは1日1日それぞれ決まっているのだが、ここに載ってあるのは11月の色、つまり1日単位ではなく1月単位の色らしい。

そして、11月の誕生色は、
「恋染紅葉(こいそめもみじ)――」
「へえ! これいいじゃん、梓!」
「うん……」
恋焦がれ、想いを募らせ、真っ赤に染まっていく頬のように。
2人が同じ月に生まれで、出会い、恋をした。そんな私と唯先輩の象徴のような色と巡りあったような気がした。
胸がほっこり温かくなる。
唯先輩にも知って欲しいな。私達の色だよって伝えたい。

「実はね、梓ちゃん。お姉ちゃんも梓ちゃんと同じように悩んでたよ?」
「唯先輩が?」
「うん。あずにゃんに素敵なものをあげたい。もっと気持ちを伝えたいって、ずっと悩んでたみたい」
「そう、なんだ……」
唯先輩もこうやって考えてくれたんだね。いっぱい悩んで、私のことをたくさん考えてくれて。そうやって、私に気持ちを伝えてくれたんだ。
胸の奥から愛おしい気持ちが溢れてくる。きゅーっと切なくて、愛おしくて、全てを許してしまえそうな熱く強い気持ちが。
お返ししよう。鮮やかに映える紅葉のもとで、唯先輩の想いに返事をしよう。
今度は私が、伝える番だ。

「プレゼント決まったみたいだね、梓?」
「えへへ、決まったかな、梓ちゃん?」
見守り導く、優しい笑顔で2人が確認してくる。
この2人に相談して本当に良かった。心からそう思う。
いつかちゃんとお礼しないとなぁ。

でも今は、感謝の気持ちを込めてきちんと答えよう。
2人へのお礼は、唯先輩の誕生日が終わってからでも遅くはない。

「うん! 決まったよ!」
力いっぱい、私にできる精一杯の笑顔でそう答えた。





おわり





あとがき
ここまでお読みいただき、有難うございました。
前回同様の流れとなりますが、まず始めに
ごめんなさーーーいっ!
今回も恋人不在SS、しかも今回にいたっては最終お祝い段階までいってない?!(汗
お互いのプレゼントに悩み、想いを込め、祝福する。そんな一端を描くことができていたなら幸いです。
最後までお付き合いいただき、ほんとうに有難うございました。

テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

DATE: CATEGORY:頂き物
なんと! 今日は勝さんからSSを頂きました!(拍手っ

本日公開させていただきますのは、その予告編です。
本編の方はまた後日、勝さんに書いていただけることになっていますので、どうぞお楽しみに。

ではでは、追記よりどうぞ♪

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DATE: CATEGORY:SS
中野梓ちゃん、誕生日SSです。
どうぞお楽しみください。


『present for you ~祝福と感謝の想いを~』



朝晩の冷え込みが厳しくなり、街ではちらほらとダウンコートを着込む人の姿が見られるようになる季節。秋と呼ぶには寒く、冬と呼ぶには少し物足りない時期。
11月――。

月曜日の講義が急遽お休みになったことを受け、土・日・月曜日の連休を久しぶりに実家で過ごそうと帰ってきた。
大学に入り、初めての寮生活に戸惑い、不安もあったけど、HTTのみんなやお隣の晶ちゃんに助けてもらいながら、なんとか日々を送っている。生活のパターンができるまでは、毎日目新しいことが多すぎて、ヘロヘロになり帰宅、後はベットに倒れこむ生活を送っていたから、こうして誰かがいる温かい家の中でゆっくり過ごすのはずいぶん久しぶりだ。

すこし時期の早いコタツにもぐりこみながら、キッチンのほうに視線を向けると、そこでは憂が鼻歌を奏でながら夕飯を作ってくれている。
お、なかなかやるね。最近ギターを始めたらしく、鼻歌にも味が出てきた。
いつか鼻歌に割り込んでみてセッションしてみようかなぁ、なんてことを考えながら、さらに深くコタツに潜りこむ。

暖かいコタツ、キッチンから香る美味しそうな匂い、誰かが側にいる安心感。
これが実家の醍醐味だなぁと、1人暮らしを始めて分かるようになった有り難味を、たっぷり頂戴することにする。
「ねえ、憂~?」
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「愛してるよ~」
「えへへ、私も愛してるよ。お姉ちゃん」
いやぁ、あったかあったかだね。


実家に帰ろうと思ったのは憂の料理目当て――ではなく、憂に愛の言葉を捧げるため――でももちろんない。今回の目的は最近悩んでいることについて憂に相談に乗ってもらうこと。
そして、その悩みというのは他でもない、11月11日にやってくる愛しの恋人――あずにゃんの誕生日プレゼントを何にすべきかということだ。

せっかく大学生になったんだからちょっといい物をあげたい。そのために、ここ数日はバイトをし、少ないながらもお金も貯めている。
何がいいんだろう。コタツの天板におでこをくっつけ、ごろごろと考える。お~これ頭がひやっとして気持ちいい。
あずにゃんは受験生だし、勉強に役立つものとか……。そういえば去年私が受験勉強をするとき、湯たんぽあったのがすごく助かったな。夜中まで勉強していると、足とか腰とか冷えちゃうんだよね。そんなときに憂が物置の奥から発掘して来てくれたんだっけ。
湯たんぽ……ありかな。
いやいや、ちょっと待て。大学生になって――1歩大人の階段を上ってすぐ、愛しの恋人に贈る誕生日プレゼントが湯たんぽってどうなんだろう。悪くない、悪くはないと思うけど、なんだか少し違う気がする。

うーっと頭を悩ませていると、料理に一段落ついたのか、足音が近寄ってき、対面に腰掛けた。

「おまたせ、お姉ちゃん。それで、連絡もなしに急に帰ってくるなんて、今日はどうしたの?」
「うーいー、えっとね、何と言いますか……」
心の準備ができていない状態で、急に聞かれ、つい口ごもってしまった。
そういえばどうやって相談するか考えてなかった。なんて切り出そう。恋人の誕生日プレゼントで悩んでますなんて、照れくさくて妹にはなかなか打ち明けづらい。

「あ、なるほど。梓ちゃんの誕生日プレゼントだね?」
「うん、そうなんだよね……って、えぇっ! な、何でっ?!」
ぽんと手を打ち、納得しましたとばかりに問いかけてくる憂に、目を見開く。思わず普通に返事しかけたけど、何でばれてるの。

「だってお姉ちゃんが悩むのって、梓ちゃんのことくらいだもん。他のことならさっさと行動しちゃうでしょ?」
当たり前のことじゃないと言わんばかりの輝く笑顔。

な、なるほど。確かにそうかもしれない。1つのことでこんなに何日も悩むことなんて、私の性格的にはずいぶん珍しい。
「うん、何あげたらいいか、いいものが思いつかなくて。湯たんぽもなぁ……」
「湯たんぽ??」
「うん、去年受験勉強するときに憂が出してくれて有難かったなぁと思って」
「そっか、湯たんぽ、悪くないと思うよ? これからもっと寒くなってくるし、可愛いのもいっぱい売ってるみたいだよ?」
「ん~……そうかなぁ」

憂の言葉を受け、あらためて湯たんぽはどうかと考えてみる。
そういえば今って電子レンジで温めて使えるのもあるって、この間テレビでやってたなぁ。どうせなら、可愛いもののほうがあずにゃんも嬉しいよね~なんてことを考えながら、コタツの上に載っていた蜜柑を両手の間でころころと転がす。

――うん、やっぱりなにか違う気がする。
他にもっといいもの、贈るべきものがあるような気がする。それが何かって言われると、分からないんだけど。
頭を悩ませながら、より一層激しく蜜柑を弄ぶ。
何かないかなー。
ころころ、ころころ

「う~ん、あ……っ」
勢い余って、ついに蜜柑が跳ね上がってしまった。
あ、落ち……っ

「くすっ」
コタツの上から落下する寸前、静かに見守っていた憂により、蜜柑は無事受け止められた。
「おぉ、憂。ナイスキャッチだよ」
「もうお姉ちゃんったら、さっきからずっと百面相してるよ?」
「あはは、もっといいものがあるんじゃないかなって思ってさ。なかなか難しいね」
「そっか。でもお姉ちゃん、ずっと楽しそうだね」
「え? 楽しそう??」

一瞬、何を言われているのか分からなかった。
憂の言葉をそのまま繰り返した私の顔を見て、憂はさらにくすくすと笑っている。

「うん、すごく楽しそうだよ? 梓ちゃんの誕生日プレゼントで悩むのが楽しくて仕方がないって、雰囲気から分かるもん」
「そ、そう……かな」
優しい表情で指摘され、妙に恥ずかしくなり、思わず目をそらす。ニヤケそうになる顔をなんとか引き締めてみるが、熱くなっていくのはどうしようもなかった。

「違ったかな?」
「……ううん、そうだね。楽しくて、嬉しいよ。だって大好きな人のプレゼントで悩めるんだもん、それが楽しくないわけないよ」
そう、悩んではいるけど、ずっとずっと幸せなんだ。
あずにゃんのことを想って、喜ぶ姿を想像して、この世に生まれてきてくれたことに感謝して。
そんなふうに想いを重ねてプレゼントを選びたい。
大好きなあずにゃんに、あずにゃんを取り巻く世界に、感謝の気持ちを伝えたい。
それを形にして贈りたい。

「お姉ちゃん。梓ちゃんはさ、きっとお姉ちゃんがこうやって一生懸命考えてくれていることが、すでにそれ自体がプレゼントだって思うんじゃないかな」
「憂……」
「だからさ、もっと素直に、自分のあげたいものを、梓ちゃんにもらって欲しいものを贈ったらいいんじゃないかな」
憂はそう言って、照れくさそうに微笑んだ。

あぁ――
「ねえ憂」
「なあに、お姉ちゃん」
憂が妹で、私は幸せ者だなぁ。
「愛してる~っ!!」
コタツから飛び出し、憂に抱きつく。するとくすぐったそうに笑いながらも、よしよしと頭を撫でてくれた。

「ごめんね、具体的なアドバイスができなくて」
「ううん、憂のおかげで決められそうだよ。ありがとね」
「それなら良かった。頑張ってね、お姉ちゃん」
「うん、頑張る!」



11月11日。あずにゃんの誕生日。
運悪くあたった掃除当番を終わらせ、部室にむかって急ぐ。いつもなら姫ちゃんとかと、ちょっとおしゃべりしたりもするんだけど、今日はそれもなし。
早く、少しでも早くあずにゃんに会いたい。
近づくにつれ、あずにゃんの姿を求める気持ちがどんどん強くなる。そして歩く速度も上がり、最後には駆け足に。

先日、悩みに悩んでプレゼントを決めた。
喜んでくれるかな。喜んでくれるといいな。
私の想いをいっぱい込めたプレゼント。
祝福と感謝の気持ちを君に。

生まれてきてくれてありがとう
私と出会ってくれてありがとう
18歳の君も、幸せでありますように。

そして、
たどり着いた部室からは愛おしい君の声が聞こえてくる。もどかしく部室のドアを開き――

「あずにゃんっ――」

Happy Birthday! お誕生日おめでとう! 大好き!!







あとがき
ここまでお読みいただき、有難うございました。
あずにゃん、お誕生日おめでとーーー!!
はい、まずはお詫びからですよね。分かってます。分かっていますとも。
誕生日SSなのに本人不在っ!!←ほんとすみません
まさかこんな事態になろうとは(汗
CPは唯(梓)+憂ってところですね。

次は唯誕生日SS。そちらの方はこのSSと少し絡みをもたせてみようと考えていますので、ぜひぜひ読んでいただけると嬉しく思います。
では、この辺りで。


2012/11/27追記
唯誕生日SS『私と貴女の想い色』を公開いたしました。
よろしければ、そちらもお願いいたします♪

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